どちらも良い車です
まず、ロータス・エリーゼR(2代目)から。私が小学生の頃に雑誌をめくって、最初に”かっこいい”と思ったロータスはエリーゼ111Rでした。そんな憧れのクルマのステアリングを握らせていただいた備忘録です。
まず乗り込もうとすると、圧倒的に分厚いサイドシルがあります。アルミ接着バスタブなので当たり前に乗り降りは大変ですが、エリーゼとはそういうクルマなのです。キーシリンダーとセルモーターのボタンが別体であるところもレーシングカー気分にさせてくれます。
クラッチの重さはそこそこ、シフトリンケージの剛性感もそこそこですが、思ったよりもストロークは短めか。重ステだよ〜と言われて発進したところ、据え切りさえしなければステアリングが重たくないことに気が付きます。エンジンは2ZZの1800ccの190馬力で、インマニ、エキマニ等々にHKSのチューニングパーツが大量に奢られ、VTECのように8500rpmまで吹け上がります。
動かしだすと、ノンパワステであることからくる濃密なステアリングフィールが味わえます。今、フロントタイヤがどのような状態で路面に当たっているのか、逐一情報を伝えてきます。一方で、据え切り以外においては全然腕力は必要とされません。もともとの、ロータスエリーゼのフロント荷重の小ささもあるとは思いますが。
そしてチューニングされた2ZZエンジンもアクセルにリニアに反応します。良い自然吸気エンジンのナチュラルなフィーリングで、意図をそのまま駆動力の増減に反映することができます。
ブレーキも、弱めのサーボではありますが踏めば踏んだぶんだけ効くブレーキで非常にコントローラブルです。
もちろん、欠点もないではありません。コーナリング中のロール量が意外と大きいため攻めていくと怖かったり、走行中のガタピシ音がかなりあったり、2席の距離が非常に近かったりします。
ですがそんなことがスポーツカーにとって大事なんでしょうか?この生ステアリングだけでもロータスエリーゼを買う価値は十二分にあります。ほぼ電子制御のないプリミティブな車体は、ただ峠を流しているだけでも一つ一つ操作の結果を如実に反映します。人体よりも遥かに大きな自動車というものを丁寧に操る、これこそがモータースポーツです。そして何気ない日常の一つ一つのコーナーがモータースポーツになる、そんな自動車です。生産こそ終了しましたが、まだ買えるうちに是非。
次に124スパイダーをば。こちらは、NDロードスターの車体にアバルトの1400ccターボエンジンを載せた、広島生産アバルトになります。
基本的な説明は以上のとおりなのですが、エアロ、ECU、足回り、大量の補強パーツなどオーナーがセンスよくゴリゴリに弄っています。よって、124スパイダーのインプレと言うよりは、この個体の備忘録的な内容になりますのでよろしゅう。
さて、NDロードスターといえば、現代の車とは思えないグニョグニョ感でした。ステアリングセンターの反応が非常に鈍く、そこからちょっとでも切ると一気に横力ゲインが発生し、そこからグラリとロールしてリアタイヤがどこにすっ飛んでいったかわからないようなコーナリングをする車でした。ライトウェイトなヒラヒラ感をどこか勘違いしたのでしょうか?
一方で、この124スパイダーはFR車の見本のような走りをします。ブレーキングからターンインの動きのしっかり感、ロールの張り感、ライントレース性、アクセルを踏み足していったときのフィーリングのすべてがメチャメチャ良くなっていました。
一体何が違うのか、オーナに訪ねたところ、まずサスペンションを交換してロール量を減らし、リアエンドのエアロパーツでリアのダウンフォースを増やしてあるそうです。さらに、リアのトーコントロールアームのブッシュをピロボールに交換したことで、マツダの"感性工学"なリアトーコントロールを事実上キャンセルしてあります。
NDロードスターって、"根本的な人間と各機能部品の配置"という意味でのレイアウトがすごくいいんですよね。トランスミッションとエンジンのクランクシャフトは可能な限り低い位置に搭載し、量産車ベースの安価な直列4気筒エンジンをカムチューンして搭載、トランスミッションとリアディファレンシャルギアを構造体で結ぶことで駆動系の一体感をもたらす……
根本的な素性が良いので、各部の剛性を強化していって、リアのトーコントロールをキャンセルしてやると、本当にいい車になるようです。この個体は馬力もかなり出ているようで、現代の車では理想のFRスポーツではないでしょうか。ロードスター改造沼にいらっしゃる方々が非常に多い理由が何となく分かったような気がしました。124スパイダー、現代のターボロードスターですので当然良いものですヨ。


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