GRヤリスのステアリングラックマウント強化ステー

 GRヤリス購入時から気になっていた点は操舵反力のなさだった。これは、100馬力前後のパワーユニットを想定したTNGA-Bプラットフォームのフロントを採用していることによる。ヤリスに比べれ3倍ほどに増大したパワーに対してどうかな……と思う。とにかくステアリングからフロントタイヤにかけての作りが華奢なのだ。

 1番最初に手を入れたのはタイヤで、ミシュランパイロットスポーツ5 サイズは225/45R17を採用した。外周は多少増えるが、エクストラロード規格に耐えるボディであること、エアボリュームがもう少しほしかったことによる。何よりも純正という理屈にあっていなくてもそれでバランスが取れているならそれで正しい、ウェルバランスだと思っているからだ。

 ミシュランの魅力は、空気圧が多少ズレても快適に走る、収束が良い等あるが、なんといっても舵感の良さだ。タイヤとは空気入りのゴム袋なので遅れタワミが常にあるものだ。しかしミシュランは遅れとたわみが一定で、僅かな操作にはわずかな反応で応える繊細さもあり、路面状態とスリップアングルを反力でもって丁寧にドライバーに伝える。車はまっすぐ走らない。たとえ50km/hの領域でも真っ直ぐ走る車は世界中ドコにもないんだ。

 ところが、ミシュランタイヤを入れても、何度空気圧を調整しても、トヨタのパワーステアリングの安っぽい質感、微小な操舵をしていくら待っても応答がない様子が是正されなかった。はっきりとわかる。踏めば死ぬ。

 雑にズバンと切り込んでいくような運転ならば問題にならない。また、スリップアングル大でスキール音が鳴っているような状態でも問題にならない。ところが乗用車である以上、日常の99%において車両状態としてはほとんど直進している。直進時にはステアのダルさがツラい。長距離移動時の疲労に繋がる。また、一発でコーナーの舵角を合わせたい、修正舵なしで気持ちよく走りたい時に困ってくる。タイヤはその本心を伝えてはくれない。息を止めてその壁を超えていかなきゃタイヤは何も話さない―――――――――


 電動パワステのトルクセンサー部分からくるダルさも気にはなるが、四駆ターボでパワステを取るわけにも行くまい。ブッシュを固めに行くという手もあるが、フルピロは流石にやりすぎだし、ジュラコンも少し普段使いがツラく、車という機械の寿命を一気に縮めることには変わりない。この状況で手をつけられるところだと、ステアリングラックの取り付け方法が気になる。トヨタ車の多くはフロントのサブフレームからボルト2本でブッシュを介してかなり前方に伸ばしてステアリングラックを取り付ける。


ポルシェだってボルト2本固定だとおっしゃる方もいるかも知れないが、ポルシェの場合はブッシュなしで取り付けられ、それにボルトもはるかに太い。ホイールベースに対してヨー慣性が大きいRRレイアウトを採用し、最初にボタンをかけ違えたままで発展していったポルシェは、基本となる配置以外の部分でドラビリを稼ぐ。


 GRヤリスのステアリングラックの締結点を増やすというのは現実的ではないので、あとはブッシュかボルトを弄るとなるが、インターネットの海を潜っていたら良い部品を見つけた。Pleasure racing service のステアリングラックマウント強化ステー(まんま)だ。らこの商品、フロントストラットのΓ字型のロワアームの後ろ側のボルトの頭と、ステアリングラック固定ボルトの上側とのブリッジになる部品だ。ステアリングラックからロッドが飛び出るとして、その反力はストラットのロワアームで受けるので、ここで簡潔に力として循環するわけだ。車にとってそれは僅かなことかもしれないが興味が湧いた。

 というわけでPleasure racing service さんに予約していって取り付けてもらった。エンジンのオーバーホールなどでめっちゃ立て込んでいるご様子だったので要予約かと思われます。あと「前期はね、ブローするんだヨ」とピストンのカケラを見せていただきました。ありがとうございました。


 取り付けてもらって店を出て左折する段階で、まず、ステアの遊びが少なくなったような気がすることが体感できた。また、直進時の微小舵に対して車がちゃんと繊細に反応するので乗りやすく、何より狙ったところに車をスッと動かしていけるので気持ちが良い。恐ろしく従順な車になった。

停止時が一番面白く、3気筒特有のすりこぎ運動からくる振動、1次振動なのでアイドリング1000rpmで17Hzくらいの振動がはっきりとハンドルに伝わってくる。もちろん高級車としてみれば質感は悪いかもしれないが、GRヤリスはそういう車ではない。それに、今までなかったエンジンの振動が伝わってくるということは、ステアリング周りがよりしっかりしたという傍証だろう。メーカーがここに踏み切れないところもわかる。とにかくGRヤリスの一番の欠点が明確に解消されるのと、部品を取り付けるデメリットがない部品なので極めておすすめだ。私は失っていた走りに対するモチベーションがはっきりと戻ってきた。


コメント