カーボンリムのブレーキシューについて ~SACRA舞い散る中に忘れた記憶と君の声が戻ってくる~

 カーボンリムに使うブレーキシューは何が良いか、度々議論されることです。私は音が出ることを諦め、効きを優先してシマノのカーボンリム用を使っていますが、そもそもなぜカーボンリムのブレーキシューはアルミと別なのでしょうか。

 まずブレーキにおいて優先するべきものはまず制動性、次に安定性です。リムへの攻撃性等々が言われることがありますが、所詮リムなんてものは消耗品です。私はリムの摩耗を特には気にしていません笑(そもそも乗ってないだろとか言わないで)。ちなみに自動車では、日本の大衆車はブレーキシューやローターの耐摩耗性を優先し、アウトバーン等の高速域での用途を想定されるドイツ車は制動性を優先してガンガンにローターが削れていきます。閑話休題。

 制動性は何で決まるでしょうか?ここではリムとブレーキシューの摩擦係数が関係してきます。まあブレーキシューは大概摩擦係数が高くなるように設定されているので、どれ使ってもそれほど大差は出ないと思われがちです。誰とは言いませんが、ある人が「カーボンリムでもアルミ用のシューで大丈夫!」と言い切ったのはそこら辺なのではないでしょうか。
 では安定性は?ブレーキの安定性は、峠の下りなどで頻繁にブレーキを使用した際に熱が貯まる中で、制動力が変化しないかどうかということでしょう。放熱性をもたせるアプローチか、それとも熱容量を増やすアプローチか、はたまた高熱でも制動力があまり変わらないような素材を用いるかの3パターンが考えられます。放熱性アプローチは主にシマノのディスクブレーキで顕著に見られ、ブレーキローターやブレーキパッドに放熱フィンがついています。熱容量を増やすアプローチは、自動車だとスポーツカーに見られる巨大なブレーキ等で見られますが自転車だとあまり見ません(あるにはある)。高熱でも安定するようなアプローチは、軽量さを求めるロードバイクについては向いていると言えるでしょう。ちなみに自動車でいうと、、ポルシェはブレーキへの導風をしっかり行い(放熱のアプローチ)、巨大なブレーキキャリパーを用意し(熱容量アプローチ)、カーボンセラミックコンポジットブレーキも選べる(高温でも安定)ようになっています。ポルシェのフラッグシップである911はリアヘビーであることにより、ブレーキを積極的に使う必要があるためだと思いますが、ポルシェのブレーキは宇宙一としばしば言われます。閑話休題。
 
 ここで一旦、バイクのアルミリムとカーボンリムの比熱(同じ重量だったときの温度の上がりにくさ)と熱伝導率(熱の伝わりやすさ)を比較してみましょう。カーボンリムはカーボンリーンフォースドプラスチックでありますから、エポキシ樹脂で近似できると考え比較すると
     
ジュラルミン  比熱 0.880 J/g・K 熱伝導率 120 W/m・K
エポキシ樹脂  比熱 1.1J/g・K    熱伝導率 0.21W/m・K

となります。ジュラルミンとエポキシ樹脂を比較して、熱伝導率では大幅にエポキシ樹脂が劣るということです。熱伝導率が低いということは、リムブレーキにおいて考えますと、「ビードフック部からリムの中心側に熱が逃げない」ということになります。ビードフックという狭い場所に熱が集中すれば当然温度が上がりやすくなり、カーボンリムのほうがブレーキ面の温度は遥かに高くなることが予想されます。だから各社は、アルミ用とは別に、カーボンリム用のブレーキシューを別に出していると考えられます。何が言いたかったかというとポルシェが欲しいです。ではまた。

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