試乗記 シトロエン・エグザンティア

独特の乗り味といふハイドロサスペンションを我も運転してみむとするなり。
 
 というわけで、昔のゼミの先輩の所有するシトロエンを運転する機会を頂き、備忘録を兼ねて久しぶりの投稿です。 車種はシトロエン・エグザンティアの2リッター自然吸気です。シトロエンの画期的技術として有名なハイドロサスペンションが特徴です。
  もともとはトルコンATが搭載されているはずですが、互換性のあるプジョー306用のMTに換装されていました。この頃のフランス車はメーカー間でエンジンが共通化されていたり融通がきくようです。
  さて、まずは横乗りの感想をば。
  まずエンジンですが、低速トルクが太めの2リッターエンジンで、常用なら2000回転以下で動かせます。音は意外と聞こえます、煩くもなく極端に静粛でもなくといった感じか。 
   肝心の乗り心地ですが、街中の時速30-40km程度におけるアスファルトの継ぎ目の段差等の振動は意外と拾います。 といっても普通のゴルフと同程度の拾い方で、悪くはないのですが、想像していたハイドロサスペンションからは少し拍子抜けするフィールでした。 ところが、高速道路で速度域が上がってくると一変します。まるで段差が無いかのような乗り心地で、ピッチングもなく走っていきます。 非常にゆっくりキャビンが動くさまはまるで大型客船のようです。 これには非常に驚かされました。これがハイドロか。 そして、石畳を走ると更に驚かされます。石畳の振動もシャットアウトされるのです。 そもそも、フランスでの自動車利用は街中のパヴェ(石畳)に舗装された道と、都市間を結ぶオートルート(高速道路)が中心なのでしょう。そして、その目的に対して非常によくチューニングされている車と感じました。

  ここで、オーナーのご厚意で鍵を渡されました。ありがとうございます。ここからは首都高において運転させていただいた際の備忘録です。 
  まず、換装MTですが、クラッチのミートも分かりやすく普通に運転できます。個人的に最後に乗ったMT車が120馬力の軽四というチキチキカーだったので、それよりは断然運転がしやすいです。ダッシュボード裏が若干分厚く、クラッチを戻す際に爪先が擦りますが、慣れでどうとでもなる範疇です。 サイズ感としては全長4500弱、全幅1750前後と何も考えずに運転できる良いサイズです。それでいて後部座席もゴルフより広いです。 
   さてこの車、自分で運転してみると、実は意外とロール自体は大きいことに気付かされます。ところがロールしたコーナリング姿勢に持っていく動き、コーナリング姿勢から戻る動きが、助手席に非常に安心感を与える遅さなのです。普通の車のサスペンションでいうとダンパーの戻りがめっちゃ締めてある感じですね。その結果、雑に舵角を切り足したり戻したりしてもそれに対して車の姿勢がピクッと変わることがなく、それが更に安心感を与えます。 このサスペンション、攻めていった先で例えば濡れた継ぎ目を踏んでアンダーステアが一瞬出た時、もちろんヨー方向としてはアンダーなのですが、車の姿勢はその程度の外乱で変化しません。とにかく同乗者のことを考えた、一般的乗用車としての快適性を求めた結果なのでしょう。燃費さえ気にしなければ、法定速度くらいで1000km4乗で移動しろって言われてもかなり疲れにくいのではないでしょうか。
  さて、シトロエンといえば故障です()。 ところで、この車は構造としてブレーキ系統とサスペンションの油圧系統が同じです。つまりどこかが壊れた瞬間に不動になります。そして、循環したオイルがキャッチタンクに戻るのですが、そのキャッチタンクに接続するパーツが純正ではゴムでできており、そこが風化するとオワリです。この車はショップで金属製のパーツに交換しており、その心配はないようです。イイですね。 

  オーナーは「2年乗って1回しか積車に乗ってないからあんまり壊れないよ」とニッコニコでおっしゃっていましたが、その笑顔は、ABS故障ランプによってオレンジに照らされていました。ではまた。

2022追記:
 シトロエンのハイドロサスペンションについて、ボーッと考えていたのですが、このシステムが真価を発揮する場面は他にもあるような気がします。具体的には、4人乗車&フル積載で長距離移動する、つまりバカンスのようなシチュエーションなのではないでしょうか。かなり積載重量が変化した際、通常のサスペンションでは空荷でセットすれば過積載でダメ、過積載でセットすれば空荷で堅いとなるでしょう。そこで、油&空気圧を利用したこのシステムであれば、1人乗車から限界ギリギリの積載量まで対応できるはずです。

訂正: オーナー様から、「『2年半で2回しか積車乗ってない』だよ」と連絡をいただきました。謹んでお詫び申し上げます。

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